2012年9月3日月曜日

炭プロジェクトの振り返り その2


前回の続き。

5. 助成金(7)
さて、今回は国際開発サークルのメンバーで炭プロジェクトを運営していて、実際にみんなでケニアで活動しようとしている。その際に問題になるのが資金である。私は1回目のケニア滞在で貯金のほとんど使用し、ネパールも自腹で行った為、今回自己資金で行くのは気が引けた。そこで、プロジェクト資金を得る為、助成金を獲得する事にした。

実は2回目のケニア滞在はこの助成金を使って、ケニアで活動させて頂いた。2年連続、同じプロジェクトに支援してもらう事はかなり困難が予想されたが、ネパールで学んだ新技術とチームで行う事のメリットを訴え、ケニアの往復の渡航費を支援して頂く事になった。滝久雄氏には2年連続でサポートをこのプロジェクトをサポートして頂き、本当に感謝しております。

今回はチームで大規模な活動をする事から活動そのものに対する助成金が必要であると判断した。そこで、発展途上国での活動に支援をしている地球市民財団にケニアでの炭プロジェクトの活動資金を支援してもらうべく、助成金申請を行った。その結果、今までの活動が評価された事もあり、助成金を頂く事ができ現地での活動費を得る事ができた。この支援を基に今までに出来なかった事をチームで達成していきたいと思っています。

6. チーム編成(7)
支援金を頂いた後は、ケニアで計画的活動できるように約2ヶ月前からチームで議論を重ねて行った。


写真9 スケジューリングの確認

結果、当初ワークショップで新しい技術を普及していく事に主眼を置いていたが、ワークショップ後に参加した現地の人々がビジネスに繋げる事ところまでの土台を作る事にした。

具体的な目標はこのリンクより。

7.
コンプレッサーの改良(8
前回のエントリーで述べたように粘土をバインダーとして使う際には穴の有無が重要になってきます。今までのコンプレッサーはキャッサバを使用していた為、穴をあける必要はありませんでしたが、粘土を使用した炭には穴が必要である為、新しいタイプのコンプレッサーが必要です。
さて、ネパールのコンプレッサー(写真10)は機構が難しくコストも割高になる事が予想される為、果たしてケニアで安価に作る事ができるか分かりません。そこで、なるべくシンプルな機構で、安価な部品を使って新しいコンプレッサーを作る事にしました。そこで、プロトタイプとして、大きめのネジを缶の蓋に取りつけ、それをコンプレッサーに組み込む事にしました。
そして、そのコンプレッサーで作った炭が写真11。しかし、ネジを使って穴をあけたのは良いが、ここからこのネジを抜くのが困難であるという状況に陥りました。ここから無理にネジが付いている缶の蓋を炭から外そうとすると炭が崩れてしまう為、乾燥してから抜く事にしました。しかしながら、乾燥すると今度はネジが乾燥した粘土にくっついてしまい抜けてなくなってしまいました。

























写真10. ネパールのコンプレッサー(左がOld typeと右がNew type)



















写真11. 穴をあける機構

この結果から、ネパールのコンプレッサーのように穴をあけてからその穴をあけた棒の部分を炭から抜く為の別の仕組みが必要であると分かりました。そこで、ゼロベースで簡単なデザインがないかを検討しました。新しく考えたアイデアはこちらににゆずりますが、結論をいうと作成したCADからどちらのデザインも上手くいかない事が分かりました。そこで、もう一度ネパールのコンプレッサーを参考にして、これをよりシンプル化した物を考えました。それをCADで描かれた物が写真12です。





















写真12. ネパールのもの(Old type)をを参考にしたコンプレッサー

そして、このCADのデザインを基にコンプレッサーのプロトタイプを作成していきます。 溶接をできる自分の父親との議論で、円形よりも四角の方が製作しやすいというフィードバックをもらったので、四角のコンプレッサーを作成しました(写真13)
















写真13. コンプレッサーのプロトタイプ

これを基に生産した炭が写真14. 詳しくはこのブログより。 穴も前よりも大きくいい感じです。

写真14. プロトタイプで作った炭。


最後にこの炭を実験で燃やすと、写真15. のように前回よりも強い火力で燃えてくれました。




























写真15. プロトタイプの炭の燃焼実験


以上、日本での活動記録でした。
この知識を基にケニアでこれらの技術を導入していきます。




2012年8月30日木曜日

炭プロジェクトの振り返り その1


お久しぶりです。
タクロー@ソウルです。

これから3度目のケニアに到着行って参ります。
今回のミッションは、農業廃材から炭を作る技術を用いて、現地で会社を立ち上げる為の土台を作る事です。その前にケニアから帰国してから、これまでどのような活動をしてきたのか簡単に振り返ってみたいと思います。


-------------------これまでの活動-----------------------

1. ネパールでのリサーチ(5月ゴールデンウィーク)
前回のエントリーでも書きましたが、ケニアでの炭生産技術の問題点、特にバインダーにキャッサバを用いる事、を解決する為に、廃材から生産された炭ビジネスが上手く回っているネパールに行き、専門家に色々とアドバイスを貰いました。なぜなら、ケニアで粘土をバインダーとして使用したら燃えなかったにも関わらず、ネパールでは上手く機能しているという情報を聞きいれたからです。

結論としては、
粘土と炭の比率が重要で、粘土をたくさんいれると火が付かないのではないとのことでした。アクションプランとしては粘土と炭の比率を体積比で1:3 にする事になりました。

2. Charcoal 新メンバーの合流 (5月)
私がケニアから帰国した2011年10月から東工大の国際開発サークルIDAの一つの海外プロジェクトとして修士2年生の5人で活動していましたが、4月に新しいメンバーが加入して是非ケニアプロジェクトに参画したいとの事で、2年生の2人が合流しました。

メンバーに関してはこのリンクから。

3. 炭実験の失敗 (6月) 
ネパールで貰ったフィードバックを基に作成した炭で実験。


実験. 1 コンプレッサーなし (6)
以下の写真1のように2種類の粉末を使って3種類の炭を作った。3種類の炭は写真2のように乾燥後、見た目に違いがでた。粉末1でネパールでのアドバイス通り粘土:炭の比率を1 : 9 にしようとしたが、粉末のサイズが大きいのか固まらず結局比率が1:3 になるまで粘土を必要とした。(1) 2, 3は粘土の種類がネパールと違う事を考慮して、比率を微妙に変えて作った。結果、乾燥後1 : 9 では粘土の量が少ない事から、表面がざらざらして炭の粉末が簡単に落ちてしまうという強度に問題がある事が分かった(2)。一方、1.5 : 8.5の比率では粘土の量が多くなったため表面のざらざら感がなくなり強度が強くなった事が分かった(3)
























写真1. 炭の作成

















写真2. 炭の種類

さて、絶対に燃えると自信を持って臨んだ実験だが、結論からいうとどれも燃えずに終わってしまった。表面が粘土の色に変わりこれ以上燃えなかった。かなり自信があったので、失敗後は意気消沈でした。何が原因なのか分からなかったが、今回はコンプレッサーを使用していなかった為、それが何かしらの作用を及ぼしているという仮説の基次の実験に臨んだ。













写真3. 炭テストの結果

実験. 2  コンプレッサーあり(7)
実験1で失敗した原因は分からなかったが、とりあえず一番最初に思い付いたコンプレッサーの有無の影響を調べる事にした。コンプレッサーは写真4のように缶と加工した円柱形の木材を使用する事にした。そして固めたのが右の画像。


写真4. 缶のコンプレッサーと炭

さて、いよいよ実験です。
結果は、、、やはり失敗でした。実験1と同様に炭の外側だけが燃え中が残っているというカントリーマーム状態になってしまいました。

















写真5. 炭実験2の結果

4.
炭の改良(7)
炭実験2の後にメンバーで集まって果たして何が原因かを議論しました。そこで、もう一度ネパールの炭と見比べてみる事にしました(写真6)。結果、穴の有無が大きな要因なのではという仮説がでてきました。ただ、確かにより酸素を供給するようになるが、結局穴の中も表面だけ燃えて中が燃えないようになるのではという疑問があったためかなり懐疑的でした。















写真6. ネパールの炭

ただ、それでもとりやえず実行してみる事が重要なので上記のコンプレッサーで固めた後に数か所穴をあける事にしました(写真7)



















写真7. 穴が空いた炭

そして、燃やしてみると写真8のように穴が赤くなって燃えている事が分かります。今回はネパールのように穴が大きくなくない為火力が弱かったが、穴を大きくすると酸素が多く供給され火力が上がる事が予想されます。今回の実験の結論から、まず穴をあけると下から熱しられた空気が穴を通って上昇する。その過程でたくさんの酸素が供給され、これが粘土をバインダーとして使用した炭を燃やすコツである事が判明した。

写真8. 実験結果


続きは直ぐにアップします。










2012年5月20日日曜日

Charcoal project in Nepal



                


 (English material was updated at the bottom of this page) 

タクローです。
ゴールデンウィークに炭プロジェクトの一環で4日間ネパールに行ってきたので、今回はそのアップデートをしたいと思います。(ネパールにはPCの電源ケーブルを忘れた為、アップする時期が遅れました)

1.   背景
そもそも、なぜネパールなのか?この問いに答えるには、ケニアにおける炭プロジェクトの状況を少し説明しなければなりません。2回のケニアでの活動(トータルで半年間)ではMIT D-Labの技術を用いて、農業廃材から炭を大量生産する為のサプライチェーンの構築を試みました。


                                   MIT D-Labで開発された従来の生産方法

しかし、この技術はケニアの現場に上手くフィットしない事が分かった為(詳しくはこちらから)2回目のケニア2ヶ月間の滞在では、生産技術の改良(ローカライゼーション)に取り組みました。
しかし、2ヶ月間の試行錯誤もってしてでも、生産プロセスの中の材料であるキャッサバ(バインダー)に代わる手段を発見・開発する事は出来ませんでした。
その後、東工大の国際開発サークルで仲間と一緒に炭のプロジェクトを推し進める事にしました。幸運な事に、その開発サークルの初期メンバーの一人がネパールを訪れた際に、農業廃材から炭を作る技術がそこではビジネスとして上手く回っているという情報を入手してくれました。

ネパールの現地で取ってくれた写真
首都のスーパーマーケットで炭が売られています。

そこで、ゴールデンウィークにネパールではどのように炭のサプライチェーンが構築されているのか(特にバインダーは何を使っているのか) を実際の目で確かめる為に、ネパールに行く事にしました。

2.   目的
炭技術をケニアに応用する為、ネパールで炭技術のイロハを学ぶ。

- バインダーは何を使っているのかを確かめる。
- プロジェクトを持続可能にするにはどうすれば良いのかを確かめる。

3.   発見
上記の目的を達成する為、私はネパールで炭を長年研究している Dr. Ramesh氏とお会いして、色々とお話をする事にしました。前もってメールで、Ramesh氏がJICAのプロジェクトでルワンダでも炭技術の普及、所謂南南協力していた事が分かっていたので、ネパールの技術がアフリカにも応用できるかを確かめる上でもどうしても会わなければならない人でした。

そして、ネパール初日から、初日からお会いして、色々な質問をぶつけて、下記の4つの大きな気付きを得る事ができました。

(1)   バインダー
炭の生産において何をバインダーとして使っているかが最も知りたかった事です。
結論を言うと、粘土を使うとの事でした。これはNAST(Nepal Academy of Science and Technology) での長年の研究で粘土がベストであると実証されています。

これは自分にとって驚きでした。なぜなら、ケニアでキャッサバの代替手段として、粘土を使って実験したからです。それも可能な限り粘土の割合を減らすように努力して。
しかしながら、結果は着火せず失敗という形に終わりました

この原因を探すべく、話を聞いていると、どうやら炭と粘土の配合率がとても重要であると分かりました。NASTでの研究の結果、以下の配合率が良いという結果になったそうです。

粘土:炭 1 : 3 (重量比)
粘土:炭 1 : 9 (体積比)

粘土にも様々な種類があり、より詳細な割合は自分で調整する必要あり。

ケニアでは可能な限り粘土の割合を減らしたつもりでしたが、上記のように定量的に実験をしていなかった為、もしかしたらより粘土の割合を減らす事も可能かもしれません。

以上より、改めて実験をする必要があります。

(2)   炭化方法
これは話を聞いている時に得た発見です。
ケニアでは、このプロセスでドラム缶を最初に使用していたのですが、価格が村人の平均月収とほぼ同じであった為、普及するのは難しいと考えました。そこで、現場のリソースを用いる事によりドラム缶を代替する事にしました。それが、レンガによる釜戸と水瓶でした。(釜戸の作成方法に関してはこちらから

                              左から時計回りに、ドラム缶、釜戸、水瓶


さて、ネパールではどうでしょうか?
ネパールでは、数種類の方法が開発されましたが、最も安価な方法として、地面を掘ってそこに農業廃材を入れて蓋をして炭化する方法を取っていました。この方法は、木炭を作る製法と同じです。実は、この方法は考えていましたが、農業廃材は木材と違って、炭化するとアッシュになってしまう為、この方法で炭化すると土と混ざって分離する可能性がありました。その為、この方法を除外していましたが、上記のようにバインダーで粘土を使うなら、炭化の段階で多少混ざってもNo problemDr. Rameshに指摘され、その通りだと思いました。

という事で、この方法が考えられる最も安価な炭の生産方法となります。次回ケニアに行った際は、この方法で炭の普及活動を行いたいと思います。


                 



















穴を掘って農業廃材を炭化中。


(3)   コンプレッサー
材料を安定供給でき、炭化する方法も確立できたとします。次にボトルネックなのが、炭を固める段階(コンプレッサー)です。何がボトルネックかというと、非常に効率が悪いという点です。これは、コストとのトレードオフである為、導入段階としては仕方がないと思います。
さて、ネパールでは、どのような方法で炭を固めているのでしょうか? ネパールでは、コストよりも効率性を重視して、以下のような物を開発しています。










コンプレッサー
 ネパールでは冬に炭は暖炉として使用するので、サイズが大きく、火力を強くする為に、酸素の供給口がたくさんあります。









これは、こちらの方が高効率で、且サイズが大きい為、一つ当たりの利益が大きい事から、より村人のモチベーションを高める事が可能だからそうです。しかしながら、当然コストが高くなる為、村人は購入する事はできません。そこで、次の組織運営が重要になってきます。

(4) 組織運営
どのプロジェクトでもそうですが、プロジェクトが上手く回る為には、熱いパッションを持ったリーダーがいなければなりません。ケニアの例では、一時は私がリーダーになって本格的にコミットすると真剣に考えた時期もありました。しかし、やはり現地の人がリーダーシップを持って運営するのが一番だと思い、今はサポーターとしてどのように関われるのかを模索している最中です。

さて、ネパールでは、どのように組織が運営されているのでしょうか?
ここで重要なのが、技術はあるが、どのように人々を巻き込んでいくかです。ここでは、2つの方法があるそうです。

   生産技術の援助
援助機関をバックに付け、炭の生産技術をただで渡すパターン。

   起業家の発見
資金を持っている地元の起業家候補を探し、彼に炭のビジネスを興してもらうパターン。

どちらのアプローチもありますが、個人的には後者のアプローチの方が魅力的です。国が変わるには、やはり内からリーダーが変えていかなければならず、いつまでも他国に頼っていては持続的ではないと思っているからです。また、炭を大量生産するには、かなりの額の初期投資が必要となるので、誰かがリーダーシップを発揮して、リスクをとってやらなければならず、それは前者では難しいと思います。実際に、ネパールで起業家が初期投資して炭のビジネスを立ち上げ、それが上手く回っているようです。

ですので、今後ケニアでは、炭のサプライチェーンを構築すると共に、起業家を発見していく事に重点を置きたいと思います。

English material is from here.